コラム

<

歯槽膿漏と歯周病に違いはある?歯槽膿漏の症状や治療法も解説!


歯槽膿漏になった人

こんにちは。熊本県熊本市にある関歯科医院です。

「歯槽膿漏と歯周病の違いは何?」という疑問をおもちの方がいるのではないでしょうか。また、歯槽膿漏に罹患した場合の症状や治療法について気になっている方も多いでしょう。

そこで今回は、歯槽膿漏と歯周病の違いや歯槽膿漏の症状、治療法などについて解説します。歯槽膿漏の予防法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

歯槽膿漏とは?

歯槽膿漏になった人

歯周病は、進行状態によって名称が異なり、病状によって歯肉炎と歯周炎に分類されます。歯槽膿漏は、病状が進行した重度の歯周炎に罹患している状態です。

歯肉炎は歯周病の初期の段階で、歯周病菌によって起こる炎症が歯茎にのみ現れている状態を指します。歯周炎は歯周病菌による炎症の範囲が、歯を支える顎の骨にまで影響を及ぼしている状態です。

歯と歯茎の境目にある歯肉溝と呼ばれる隙間が炎症により深くなり、歯周ポケットへと変化します。歯周ポケットのなかに入り込んだプラークや歯石を放置すると、歯周炎が進行し歯を支える顎の骨が吸収されます。

歯槽膿漏は歯周病菌によって、歯の支えとなる顎の骨が吸収され歯茎の腫れや出血、排膿、歯がグラグラと揺れるなどの症状が現れる重度の歯周炎の状態です。

歯槽膿漏にまで進行すると治療が難しく、症状の改善がみられない場合は歯を抜かなくてはなりません。

歯槽膿漏と歯周病に違いはある?

歯槽膿漏のイメージ

歯槽膿漏は歯周病の進行状況のなかのひとつです。上述したとおり、歯周病は炎症の範囲によって歯肉炎と歯周炎に分類されます。さらに歯周炎は顎の骨の吸収の度合いによって軽度・中等度・重度の3つに分類されます。

歯周病とは歯肉炎や歯槽膿漏などの状態を示した一般的な総称で、歯槽膿漏は歯周病の最終段階である重度の歯周炎を指します。

歯槽膿漏の原因

歯槽膿漏になった人

歯槽膿漏には直接的原因と間接的原因があります。

以下に歯槽膿漏の直接的原因と間接的原因について解説します。

直接的な原因

歯槽膿漏の原因は、口の中に生息する細菌です。口の中には700種類ほどの細菌が生息しているといわれています。細菌は、歯の表面に残るプラークのなかで繁殖します。

1mgのプラークのなかには1億個の細菌が生息しているといわれており、歯の表面にプラークが多く残ると、歯槽膿漏に罹患するリスクも高くなります。

歯と歯茎の境目にある歯肉溝にプラークが入り込むと、歯肉溝のなかで細菌が繁殖して歯茎が炎症を起こし、歯周ポケットへと変化します。

歯の表面に残るプラークや歯周ポケットに入り込んだプラーク・歯石を放置すると、歯周病が進行して歯槽膿漏になるリスクが高くなるでしょう。

間接的な原因

歯周病の間接的原因には、口の中の環境や生活習慣などが挙げられます。

口内環境

歯並びが悪い部分や詰め物・被せ物との間に隙間が生じている部分は、歯ブラシが行き届かない可能性があります。そのため、歯槽膿漏の原因になるプラークが残りやすい環境になります。

プラークは2〜3日ほどで石灰化して歯石になります。歯石の表面はザラザラとしており、プラークが付きやすいため、口の中の環境が悪くなる可能性があるでしょう。プラークの残りやすい環境は歯槽膿漏に罹患するリスクが高まるため注意が必要です。

生活習慣

生活習慣も歯槽膿漏に大きく関わります。ストレスや乱れた食生活は身体の抵抗力が弱まるため、細菌の働きが優勢になりやすいです。万が一、歯周病に罹患した際も抵抗力が弱まっていると悪化する可能性があります。

食事時間が決まっておらず間食が多い方も、口の中にプラークが残りやすいため歯周病になるリスクが高いといわれています。

また、タバコに含まれる一酸化炭素やニコチンは血管を収縮させます。そのため、喫煙習慣があると歯茎に血液が十分いき届かなくなり、歯周病菌に対する抵抗力が弱まるため、喫煙者は非喫煙者と比較して歯周病に罹患するリスクが高くなるのです。

歯槽膿漏の症状

歯槽膿漏の症状のイメージ

初期段階の歯周病は自覚症状がほとんどありません。

しかし、最終段階である歯槽膿漏にまで進行すると、さまざまな症状が現れます。

歯槽膿漏の主な症状は、以下のとおりです。

  • 歯茎の腫れ
  • 歯茎からの出血・排膿
  • 強い口臭
  • 歯茎が下がる
  • 歯並びが悪くなる
  • 硬い物を噛むと痛みがある
  • 歯がグラグラと揺れる

歯槽膿漏になると、何もしなくても歯茎から出血や排膿があるケースも少なくありません。口の中の環境が悪くなるため口臭が強くなります。また、歯を支える顎の骨が少なくなるため歯がグラグラと揺れはじめ、歯並びや噛み合わせが悪くなる可能性もあるでしょう。

吸収された顎の骨は、治療をしても元に戻ることはありません。歯槽膿漏が進行すると、歯が自然に抜けてしまうケースもあります。ご自身の歯を失う前に、自覚症状が現れたら歯科医院を受診して確認してもらいましょう。

歯槽膿漏の予防法

歯槽膿漏の予防として治療をしている人

歯槽膿漏が進行すると歯が抜け落ちるリスクが高くなります。歯槽膿漏を予防する方法はあるのか疑問に感じている方もいるでしょう。

以下に、歯槽膿漏の予防法を4つご紹介します。

セルフケアを徹底する

歯槽膿漏の原因はプラークの中にいる歯周病菌です。歯槽膿漏を予防するためには、口の中のプラークを減らして清潔に保つことがポイントといえるでしょう。

プラークはセルフケアで除去できるため、正しいブラッシング方法を習得することが重要です。歯ブラシだけでは全体の6割程度の汚れしか落とすことができないため、デンタルフロスや歯間ブラシなども用いて歯と歯の間までしっかりとケアすることが大切です。

外出先で食後にブラッシングできない場合は、口をゆすぐだけでも食べカスなどは除去できます。プラークが形成されにくい環境に口の中を整えましょう。

歯科医院の定期メンテナンスに通う

歯周病は自覚症状が現れにくいため気がついた時には、歯槽膿漏の状態にまで進行しているケースも少なくありません。歯槽膿漏になると、治療期間は長くなり完治させることも難しくなります。

歯槽膿漏を予防するためには毎日のセルフケアはもちろん、歯科医院を受診して定期的に口の中を確認してもらうことが重要です。歯科医院のメンテナンスでは、虫歯・歯周病の有無やブラッシング指導、歯石・着色汚れの除去をおこないます。

ブラッシング指導では、磨き癖でプラークが残りやすい部分や、歯並びが悪く磨き方に工夫が必要な部分の磨き方を指導します。

また、歯の表面に歯石が付着しているとプラークが付着しやすい環境になります。歯石はセルフケアでは落とせないので歯科医院で除去してもらう必要があります。

歯槽膿漏を予防するためにも3か月〜半年に1回は歯科医院を受診してメンテナンスを受けましょう。

生活習慣を見直す

歯槽膿漏を予防するためには生活習慣を見直すことも重要です。

睡眠不足や偏った食生活などの生活習慣の乱れやストレスが溜まった状態が続くと、身体の免疫力が低下します。免疫力が低下した状態が続くと細菌の活動が優位になるため歯周病に罹患しやすくなるでしょう。

疲れやストレスが溜まっていると感じたら、規則正しい生活を心がけ、趣味や休息などで息抜きをしてストレスを発散することが大切です。

また、喫煙する方はタバコに含まれる一酸化炭素やニコチンの作用で血管が収縮され、歯槽膿漏のリスクが高くなります。歯槽膿漏を予防するためにも、禁煙もしくはタバコの本数を減らすなどしましょう。

歯列矯正をする

歯並び・噛み合わせが悪く、ブラッシングしにくい部分がある方は、歯槽膿漏になるリスクが高くなります。歯槽膿漏の予防は、歯科医院の定期メンテナンスも大切ですが日々のセルフケアでプラークの残らない環境に整えることもポイントです。

そのため、歯並び・噛み合わせが悪く、セルフケアが困難なケースでは、矯正治療をおこなって歯並び・噛み合わせを整えることも有効な手段といえるでしょう。歯並び・噛み合わせが整うとブラッシングしやすくなるため、清潔な口内環境を保ちやすくなります。

歯槽膿漏の治療法

歯槽膿漏の治療を行っている人

歯槽膿漏の治療は、大きく歯周基本治療と歯周外科治療に分類されます。歯周基本治療で十分な効果がみられなかった場合、歯周外科治療も視野に入れて治療を進めていくケースが一般的です。

以下に、歯周基本治療と歯周外科治療の方法を解説します。

歯周基本治療

歯槽膿漏の原因は、プラークのなかの細菌です。歯肉炎や軽度の歯周炎であれば、歯周基本治療で改善が期待できます。

歯周基本治療ではブラッシング指導とプラーク・歯石の除去をおこないます。

ブラッシング指導

歯槽膿漏の治療が完了しても歯槽膿漏の原因であるプラークが歯の表面に付着していると再発するリスクが高くなるでしょう。そのため、歯科医院では歯槽膿漏の治療と並行してブラッシング指導をおこなう場合が多いです。

ブラッシング指導で正しいブラッシング方法を習得することで歯槽膿漏の症状の改善と再発を防ぎます。

歯垢・歯石の除去

歯の表面や歯茎のなかに付着したプラークが石灰化すると歯石になります。歯石の表面は粗造なのでプラークが付着しやすく、放置すると歯槽膿漏の悪化に繋がります。

歯石は、ブラッシングでは除去できません。そのため、歯科医院では歯の表面や歯と歯茎の境目の歯周ポケットに付着した歯石を専用の機械・器具を使用して除去していきます。歯石を取り除きプラークが少なくなると、炎症が治まることがあるでしょう。

歯周外科治療

歯槽膿漏がかなり進行しているケースでは歯周外科治療がおこなわれます。歯周外科治療で症状の改善がみられれば抜歯を回避できるでしょう。

歯周外科治療には、大きく2つの方法があります。

フラップ手術

フラップ手術は、歯茎を切開して歯根に付着しているプラーク・歯石を除去する手術です。歯周ポケットが深く、歯周基本治療で歯石が取りきれなかった場合に検討される治療法です。

歯茎を切開することで視野が確保され確実に歯石を取り除くことができます。

歯周組織再生療法

歯を支えている顎の骨が大きく吸収されているケースでは歯周組織再生療法が検討されます。歯周組織再生療法は、歯槽膿漏で失われた顎の骨など歯を支える周辺組織を再生させる治療法です。

まとめ

歯のイメージ

歯槽膿漏は歯周病のなかでも重度の状態を指します。歯周病は歯周病菌によって歯茎に炎症がみられる場合の総称で、歯槽膿漏は歯周病の進行段階のひとつです。

歯槽膿漏を防ぐためには、プラークコントロールをしっかりとおこない、規則正しい生活を心がけて身体の免疫力を高めることがポイントといえます。

気になる症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。

歯周病にお悩みの方は、熊本県熊本市にある関歯科医院にお気軽にご相談ください。

お電話お電話
WEB予約